Sygnum Bank(シグナム銀行)が発表した第4四半期の市場見通しによれば、暗号資産市場は依然としてマクロ環境の影響を受けているものの、Ethereumは2025年末に向けて大きな上昇局面を迎える可能性があるとしている。
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- 最新のSygnumレポートでは、現在の暗号資産の強気相場が不安定な状況にあるとの警告を示している
- マクロ要因が、投資家が期待していたアルトコインラリーを押し下げた
- 注目がBitcoinに集中する一方で、Ethereumは大きな値動きに向けた兆候を見せている
- 市場環境は厳しいが、年後半にアルトコインの反転余地が残されている
Sygnumの最新の市場見通しによると、マクロ環境は引き続きアルトコインに重い負担を与えている。一方で、Ethereumは第4四半期に向けて相対的な強さを示しており、上昇余地があるとみられている。
わずか2週間前まで、投資家の間では「アルトコインシーズンが始まる」との期待が高まっていた。Ethereum(ETH)とSolana(SOL)が上昇し、Bitcoinのドミナンスが12%低下するなど、典型的なアルトコインローテーションの兆候がそろっていた。しかし、ドナルド・トランプ氏が関税措置を再燃させたことで、過剰レバレッジのアルトコインポジションが急速に巻き戻された。
Sygnumは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ発表に対する市場の反応が鈍かったことも、期待されていた「アルトシーズン」の可能性をさらに弱めたと指摘している。また、過去の市場サイクルのパターンを踏まえると、現在はサイクルの天井に近い可能性があると分析する。
この流れを受け、長期保有者のBitcoin(BTC)売却が進んだ。特に、BTCが10月6日に過去最高値の126,198(約1,900万円)に到達した直後は、売り圧力が強まった。
アルトコインラリーは財務需要が引き金となる可能性
Sygnumによれば、例年の「Uptober(10月の上昇相場)」こそ見られなかったものの、暗号資産市場全体の基礎的環境は依然として堅調だという。特に、企業や各種財務部門によるアルトコイン需要の高まりが、次の大規模ラリーの原動力になり得ると分析している。
市場の流動性は依然として高く、機関投資家の参入が広がり、規制面の整備も徐々に進んでいる。
米国政府の一時的なシャットダウンにより、暗号資産関連法案やETF承認のプロセスは遅れているものの、全体的な方向性は前向きだ。現在、BlackRock(ブラックロック)やFidelity(フィデリティ)など大手企業を含む150以上の暗号資産ETFが承認待ちとなっており、承認が進み始めれば市場心理が急速に改善する可能性がある。
Ethereumは特に強い立場にあり、企業の保有残高は24億(約3,600億円)へと15倍に増加している。その結果、Ethereum供給量の約40%が市場からロックされ、需給面で上昇圧力が高まっている。
Bitcoin Hyper(HYPER):次のアルトコインローテーションの恩恵を受ける可能性
Sygnumのレポートに直接記載されているわけではないが、市場では次のアルトコインローテーションで注目される銘柄としてBitcoin Hyper(HYPER)を挙げる投資家が増えている。
Bitcoin Hyperは、Bitcoinと連携したLayer 2(処理を軽量化する第2層技術)として開発されており、高速取引、低手数料、dApps(分散型アプリ)やDeFi(分散型金融)の利用をBitcoinにもたらすことを目的としている。
Bitcoinエコシステムへの関心が高まる中、HYPERはアルトコイン市場への信頼が戻る局面で、主要な受益銘柄として浮上する可能性があるとみられている。
アナリストは、Bitcoinのセキュリティ、高いスケーラビリティ、ユーザー需要の組み合わせが、アルトコインサイクル再開時にHYPERを有力な上昇候補に押し上げる可能性があると指摘する。
