暗号資産市場では、12月を前に大口投資家(クリプトクジラ)が明確な買い増し行動を示している。11月後半の価格変動局面で売りに回るのではなく、ミドルキャップから大型銘柄にかけて保有量を増やしている点が特徴だ。
価格が安定した局面で買いが入っていることから、この蓄積動向はより重要と考えられる。これらの行動パターンは、クジラが12月に上昇余地があると判断している資産を示す初期シグナルとなっている。
Ethena(ENA)
Ethena(ENA)は、クジラが12月の値上がりを見込んで購入している代表的な銘柄として浮上している。ENAは直近7日間で21.3%上昇しているが、その上昇局面で利確を行うのではなく、大口投資家が積極的に買い増している。
今週、クジラウォレットはENA保有量を2.84%増加させ、総保有量は約3,988万ENAとなった。これは約110万ENAの追加取得に当たる。
また、上位100アドレスに該当するメガクジラも保有量を0.35%ほど増やし、約5,000万ENAを追加した。強い相場で買い増しが続くことは、さらなる上昇を見込んでいるサインとされる。
12時間足チャートでは、ENAは依然として左右対称のトライアングル内で推移しており、買い手と売り手の均衡が続いている。重要水準は0.28ドルで、11月25日以降の上昇局面で何度も上値を抑えたポイントだ。この水準を日足で明確に上抜ければ、0.30ドルから0.32ドル付近への上昇が期待できる。
一方で、0.27ドルを維持できない場合はトライアングル下限を割り込み、クジラ需要が弱まれば0.21ドル方向への調整リスクがある。
XRP(XRP)
XRPは、クジラが買い増しを進めている2つ目の資産であり、12月の上昇を見込んだ動きが強まっている。Ethenaよりも強い蓄積パターンが確認されており、11月最終週に複数のクジラ層が積極的に買い増しを行っている。
1億XRP以上を保有する最大規模のウォレットは、11月25日以降で約1億5,000万XRPを買い増した。現在価格では約3億3,000万ドル(約520億円)相当となる。
さらに、1,000万〜1億XRP保有のグループは11月23日以降で9億7,000万XRPを追加しており、約21億3,000万ドル(約3,350億円)が新規投入された形だ。
XRPは現在2.20ドル付近で推移しており、週間16%以上の上昇局面で買い増しが入ったことは、強気局面での追加投資が行われていることを示している。
テクニカルでは、XRPは約2か月にわたり1.77ドルのサポートを維持しており、10月10日と11月下旬にテストされたことで初期のダブルボトムを形成している。この水準が12月の基盤となる。
上昇を継続するには、2.30ドルの抵抗線突破が必要で、ここを日足で上抜ければ2.45ドルおよび2.61ドルが次の上値目標となる。
逆に2.11ドルを割ると強気構造が崩れ、1.81ドルの再テストが視野に入る。
Cardano(ADA)
Cardano(ADA)もクジラの買い対象としてリストに残っており、XRPに続いて大型銘柄への資金ローテーションが進んでいる可能性がある。
11月下旬には、2つの主要保有グループがADAの買い増しに動いている。
10億ADA以上を保有する最大層は11月24日から買い増しを開始し、累計1億3,000万ADAを追加した。続いて1,000万〜1億ADA保有層も11月26日から買い増しを始め、累計1億5,000万ADAを取得している。
両グループが短期間で買い越しに転じたことは、価格の低迷にもかかわらず新しい強気姿勢が生まれていることを示す。
ADAは現在0.41ドル付近で取引されており、この買い増しは市場に戻る資金が拡大していることを示す。また、同期間にADAは週間5%上昇しており、買いが回復局面と重なった点も重要だ。
12時間足チャートでは、価格が安値を更新した一方でRSI(相対力指数)は高値を切り上げる強気ダイバージェンスが発生している。これは初期の反転シグナルとして知られる。
12月に強さを確立するには、0.43ドルの上抜けが必要で、突破すれば0.52ドルへの上昇余地が開ける。一方、0.38ドルを割ると強気構造の継続が難しくなる。
Bitcoin Hyper(HYPER)
Bitcoin Hyperは12月に向けて注目度が上昇しているプロジェクトであり、その背景にはプレセール(事前販売)の加速がある。
直近で累計2,800万ドルの資金調達を突破しており、年末に向けて活動が活発な早期ステージのトークンとして位置付けられている。現在のプレセール価格は0.013ドル帯で、ハイリスク・ハイベータの銘柄を求める投資家の関心が高まっている。
市場全体が変動する中でも需要が安定している点は注目され、今後の取引所上場や流動性イベントを見据えて早期参入する動きが表れている。
次のティアである0.014ドルへの移行が確認されれば、勢い継続の指標となり、追加の参加者を呼び込む可能性がある。
12月の焦点は、プレセールの加速が維持されるかどうかだ。
日々の資金流入が続けば、投資家が初期段階のプロジェクトに資金を振り向けていることを示し、強気シナリオが強まる。一方で流入が鈍れば、短期的な上値余地は抑えられる。
現時点でBitcoin Hyperは、月初を迎える直前に位置する注目案件として市場の視野に確実に入っている。
