暗号資産市場で「スマートマネー」と呼ばれるクジラ(巨額投資家)は、直近の市場調整局面で特定のアルトコインを積極的に買い増している。その動きは今後どこに大口資金が流れるかを示唆するものだ。11月が重要な局面を迎える中、クジラが静かに蓄積している3つのアルトコインを紹介する。
Ethereum(ETH):下落局面での買い増し
Ethereumは4,000ドル(約61万円)を割り込み、過去1か月で14%下落した。しかし、この下落局面でクジラによる買いが活発化している。直近では40万6,000ETH以上、総額16億ドル(約2,440億円)相当がクジラのウォレットに追加された。
Ethereumの基盤は依然として堅固である。取引手数料は低下傾向にあり、開発者もネットワーク改善を継続している。一部の市場関係者は、Ethereumの将来の成長軌道をビットコインの初期段階と比較する。トム・リー氏の会社Bitmineは、すでに90億ドル(約1兆3,700億円)相当のETHを保有している。クジラは、年内の上昇局面に備えた買い場と見ている。
Bitcoin Hyper:スピードとセキュリティの融合
Bitcoin Hyper(HYPER)は、1トークンあたり0.013045ドル(約2円)で取引されており、ビットコインのセキュリティとSolanaのバーチャルマシン(SVM)の高速処理を融合させている。この仕組みにより、開発者はビットコインの安全性を基盤としながら、高性能なアプリケーションを構築できる。
ビットコインの信頼性とSolanaの速度を兼ね備えたコンセプトは注目を集めているが、実際の採用はまだ不透明だ。投資家は将来性を認識しているものの、大規模な開発者コミュニティによる利用が広がるまでは「様子見」の段階にある。
Plasma(XPL):著名投資家が支援
Plasma(XPL)は、ステーブルコイン(価格が安定した暗号資産)に特化したレイヤー1ブロックチェーンで、数日前にローンチされたばかりだ。新規ながらも、すでにクジラの動きを惹きつけている。支援者には取引所Bitfinex(ビットフィネックス)や、億万長者ピーター・ティール氏のFounders Clubが含まれており、プロジェクトに信頼性を与えている。
XPLはローンチ直後の0.70ドル(約107円)から1.21ドル(約186円)へと上昇した。あるクジラはパブリックセールで270万ドル(約41億円)相当を確保し、他の投資家はわずか0.05ドル(約8円)で積み増した。また、Tron創設者で知られるジャスティン・サン氏も参入し、XPLの取引で1,600万ドル(約24億円)の利益を得た。依然として投機的要素が強いが、有力な支援者とクジラの関心により注目度が高いプロジェクトといえる。