暗号資産市場は足元でビットコイン(BTC)の価格変動が続くものの、内部では底堅さを保っている。ステーブルコインの時価総額は過去最高の3100億ドル(約48兆円)に達し、前年から約70%増加した。
この動きは、投資家が市場から撤退していないことを示す。資金は一時的に待機状態に置かれ、明確な反転局面を見極めた上で再投入される構図となっている。
12月26日が近づくにつれ、市場では年内最後となる大規模なオプション満期が意識されている。これらの局面ではビットコインやイーサリアム(ETH)に短期的な変動が生じやすいが、市場の歪みが解消される契機にもなりやすい。
2026年を見据えた見方は分かれている。
長年ビットコインに批判的なピーター・シフ氏は、世界的な景気後退が株式市場とともに暗号資産を押し下げる可能性があると警告する。
When bitcoin was ATH, have you ever thought, “I wish I bought bitcoins early”?
Guess what, those who bought early did not buy at ATH, they bought when there were fear, uncertainty and doubt.
Merry Christmas 🎄
— CZ 🔶 BNB (@cz_binance) December 25, 2025
一方、バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ氏は、機関投資家の参入拡大やレイヤー2技術の成熟を背景に、2026年が暗号資産の本格的なスーパーサイクルの始まりになると主張する。過去の傾向を見ても、ビットコインは12月から1月にかけて弱含んだ後、2月に反発するケースが多い。
極度の恐怖局面で進む資金移動、2026年回復を見据えた有力プレセール
ビットコインが次の大きな動きを探る中、市場の極度な恐怖心理が別の投資機会を生み出している。
フィア・アンド・グリード指数が20前後まで低下する局面では、実需と明確な物語性を備えた暗号資産プレセールに資金が流入しやすい。
2025年12月末時点で、こうした初期プロジェクトは2026年回復局面の有力候補として浮上している。
Bitcoin Hyper(HYPER)
Bitcoin Hyperは、ビットコインを日常的に使いやすくする新たなレイヤー2を導入する。
高速決済、ミームコイン、ステーブルコイン、分散型金融(DeFi:中央管理者を持たない金融サービス)、借入・貸付など、従来ビットコインが苦手としてきた分野を補完する設計だ。

同プロジェクトはソラナ仮想マシン(Solana Virtual Machine)上で稼働し、高速かつ低コストなトランザクション処理とスマートコントラクト実行を可能にしている。最終的な決済はビットコインのメインチェーンが担うため、高いセキュリティを維持できる。
内部ブリッジ機能により、BTCはメインチェーン上でロックされ、レイヤー2上で各種アプリに活用される。ビットコインの利用を外部へ流出させるのではなく、ネットワーク内の基軸通貨として位置付ける点が特徴だ。
ネットワーク手数料の支払いにはHYPERトークンが使用される。プレセールの調達額は約2970万ドル(約46億円)に達し、3000万ドル目前となっている。
HYPERの現在価格は0.013485ドル(約2円)で、ビットコイン系レイヤー2市場の一部を獲得するだけでも、上場後に5倍から10倍規模の上昇余地があるとみられる。
暗号資産インフルエンサーのCrypto Volt氏も、有力プレセールの一つとして同プロジェクトを挙げている。
Pepenode(PEPENODE)
Pepenodeは、ビットコインの根幹であるマイニングをゲーム化したプロジェクトだ。仕組みを隠すのではなく、仮想的なマイニング環境として可視化し、効率性と最適化を重視する設計としている。

プレイヤーは仮想マイニング装置を運用し、異なる特性を持つノードを組み合わせて性能を高める。成果は単純なアイテム収集ではなく、システム設計の巧拙によって左右される。
資源配分も重要な戦略要素となる。事業拡大を優先するか、既存設備の改良を選ぶかで、短期利益と長期効率のバランスが問われる。
報酬としてPepeやFartcoinなどの人気ミームコインが用意され、ランキング機能により競争性と継続的な参加意欲が維持される。供給面では、アップグレードに使用されたトークンの約70%を焼却するデフレモデルを採用する。
仮想マイニング、段階的プレセール、ステーキングを組み合わせた構成により、PEPENODEは高い差別化を実現した。ステーキング利回りは最大544%とされ、2025年から2026年にかけて注目されるミームコインの一つと見られている。
市場が静かな局面でも資金流入は続き、調達額はすでに約240万ドル(約3億7000万円)に達した。プレセールは残り13日で終了予定で、終了後は取引所上場が予定されている。
HyperSui(HYPESUI)
HyperSuiは、2025年12月下旬時点で300万ドル超を調達した有力プレセールとして浮上した。Suiブロックチェーンのロック総額(TVL)は年初来で250%以上増加したが、統合型の取引基盤が不足していた。
同プロジェクトは、Sui上初となるパーペチュアル型分散型取引所(DEX)を構築する。サブ秒確定性とMove言語による高い安全性を活用し、機関投資家水準の取引環境を目指す。
流動性が分散しがちな従来DEXとは異なり、オンチェーン完結型の統合取引ターミナルを提供する。最大100倍の非カストディアルレバレッジ、精密な約定、リアルタイム分析機能を備える点が特徴だ。
HYPESUIは現在0.01022ドル(約1円)で取引され、2026年第1四半期の上場価格は0.09ドル(約14円)とされている。現水準から約8.8倍、約780%のリターン余地が示唆されている。
Suiエコシステムに明確なDEXリーダーが存在しない中、HyperSuiは技術力と強力なインセンティブ設計で存在感を高めている。2026年初頭のメインネット公開とDAOガバナンス導入を通じ、Sui DeFi全体の中核的流動性基盤となる可能性がある。






