
宇宙探査企業の経営者であり、時に「世界大統領」を目指すとも語るテック富豪イーロン・マスク氏が、自身が所有するX(旧Twitter)での投稿によって、あるミームコインを急騰させた。PNUTの取引量は前日比で153.9%増加し、2025年の注目ミームコインにも波及効果が広がりつつある。
今回、PNUTが「テスラに乗って月まで飛んだ」ような高騰を見せたきっかけは、マスク氏による「エプスタインファイル」に関する投稿だった。
FBI(連邦捜査局)と司法省(DOJ)は、ジェフリー・エプスタインに関する調査報告を発表。物議を醸したのは、「顧客リストに関する証拠は確認されなかった」という声明だった。
They arrested (and killed) Peanut, but have not even tried to file charges against anyone on the Epstein client list.
Government is deeply broken. pic.twitter.com/YndRadQUBE
— Elon Musk (@elonmusk) July 8, 2025
しかし、2019年に勾留中に死亡したエプスタインと関係があったとされる著名人──中にはドナルド・トランプ米大統領も含まれていたことから、多くの人々にとってこの結果は意外だった。
かつては、マスク氏とトランプ氏の間にSNS上での応酬も見られた。DOGE(ドージコイン)支持派だったマスク氏は、エプスタインファイルにトランプ氏の名前があったと示唆する投稿を行ったが、その投稿は後に削除されている。
今回マスク氏は、そのエプスタイン関連の声明に対し、再び反応。投稿したのは、リスの「ピーナッツ」とアライグマの「フレッド」というSNS上の人気動物キャラクターが、当局により安楽死させられたという出来事をモチーフにしたミームだった。
マスク氏が投稿、PNUTが急上昇
この投稿は米政府に対する風刺とも受け取れるが、マスク氏が「ピーナッツ」の名前を出したことで、同名のミームコイン「Peanut the Squirrel(PNUT)」の価格が数時間で10%上昇した。
PNUTは一時0.2379ドル(約38円)まで上昇したが、執筆時点では0.2250ドル(約36円)に落ち着いている。それでも5.42%の上昇を維持しており、24時間の取引量は2億5,926万ドル(約407億円)に達している。時価総額も2億2,258万ドル(約349億円)で4.5%増加した。
かつては市場の傍流と見なされていたミームコインだが、2024年以降、主力銘柄の一角として存在感を強めている。
次に爆発するミームコインは?
現在注目されているのは、DOGE、SHIB、PEPE、BONKといった有名銘柄だけではない。今回PNUTが陽の目を浴びたように、2025年の有望ミームコインとして、以下に紹介するプロジェクトも期待を集めている。
1. Bitcoin Hyper(HYPER)──ビットコインにスケーラビリティをもたらすL2プロジェクト
Bitcoin Hyper(HYPER)は、ビットコインのブロックチェーンにレイヤー2(L2)としてスケーラビリティを提供する新たなミームコインだ。ビットコインはセキュリティに優れる一方で、トランザクション速度が遅く、手数料が高いという課題がある。
このプロジェクトは、低コストかつ高速なビットコイン取引を実現し、マルチチェーン対応でDeFi(分散型金融)やdApps(分散型アプリ)にも対応する点が特徴である。
HYPERは現在プレセール中で、価格は0.0122ドル(約1.9円)。ステーキングすれば、年率372%という高い報酬が得られる仕組みも用意されている。
2. Snorter Token(SNORT)──Telegram上で完結する次世代トレーディングボット
暗号資産市場では取引ボットが注目を集めているが、中でもTelegramネイティブのSnorter Botは革新的だ。ネイティブトークンのSNORTによって駆動し、Telegramアプリ上で直接、スワップ、自動売買、コピー取引、ポートフォリオ管理、ストップロス設定などが可能となる。
さらに、ラグプル(資金持ち逃げ)やハニーポット(罠型トークン)検出機能も搭載し、安全性を高めている。
現在SNORTもプレセール中で、価格は0.0977ドル(約15円)。ステーキングすると、年率220%の報酬を得ることができる。
3. America Party(AP)──マスク氏の政治構想から誕生した注目トークン
America Party Token(AP)は、マスク氏が2025年7月5日にX上で表明した新政党構想「America Party」に着想を得たミームコインだ。なお、同トークンはマスク氏本人のプロジェクトではないが、公式サイトによれば「真実と行動を重視する姿勢にインスパイアされている」とされる。
APは市場に登場したばかりだが、すでに分散型取引所(DEX)で取引が可能となっている。マスク氏に関連したミームコインは、たびたび話題になることから、今後の動向が注目される。
現在の価格は0.002201ドル(約0.35円)で、ローンチからわずか2日足らずで7,979%上昇している。
注目すべき市場の動き
「アメリカがくしゃみをすれば、世界が風邪を引く」と言われるが、マスク氏がミームコイン市場を間接的に活気づけているのなら、それも歓迎すべき現象かもしれない。PNUTがその代表例だ。
今後も、HYPERのような新興ミームコインが市場の主役となる可能性は高い。ただし、最終的な投資判断は自己責任で行うべきであり、十分な調査(DYOR)が求められる。これは投資助言ではなく、暗号資産市場には常にリスクが伴うことを念頭に置いてほしい。
