暗号資産XRPは年末を前に、数カ月続いたレンジ相場の中で重要視されるテクニカル水準付近で推移している。執筆時点の価格は約1.86ドル(約290円)で、1.85〜1.91ドルの狭い値幅内にとどまっている。
過去1カ月では約13%下落し、週間ベースでも小幅なマイナスとなった一方、24時間の取引高は約14億6000万ドル(約2200億円)を上回っている。
現在の水準は、直近の調整局面で何度も下値支持として機能してきた価格帯に位置している。もっとも、暗号資産市場全体のセンチメントは慎重姿勢が続いており、この支持線が維持されるかどうかに市場参加者の注目が集まっている。
支持線を維持する一方で売り圧力は継続
二〇二四年後半以降、XRPはテクニカル分析で「マクロ需要ゾーン」と呼ばれる広範な支持帯から複数回反発してきた。
この水準は急落を防いできたが、反発のたびに高値が切り下がっており、売り手がより低い価格帯で参入していることを示している。
この値動きは、買い手と売り手の攻防が収束する「ディセンディング・トライアングル(下向き三角形)」を形成している。
$XRP: Multi-month support keeps getting defended 🛡️. However, lower highs are pressing down from above, and the price is coiling back at support. Either way, compression = decision soon ⚖️ —wait for confirmation. pic.twitter.com/KE8gJDf0tn
— 🇬🇧 ChartNerd 📊 (@ChartNerdTA) December 28, 2025
アナリストのChartNerdは、XRPが現在レンジ下限付近で「エネルギーを溜めている」状態にあり、方向感が定まれば大きな動きにつながる可能性があると指摘した。
同氏はまた、四月と十月に長い下ヒゲを形成した価格帯に再接近している点にも言及した。
これらの水準は未消化の流動性が残る領域と解釈されることが多く、保ち合い局面で再訪されやすいとされている。
過去相場との比較と短期チャートの示唆
一部のアナリストは、現在のXRPの値動きを過去の相場サイクルと比較している。
Javon Marksは、二〇一七年の急騰前に見られたパターンと類似点があると指摘し、過去には同様の形状から大きな値動きが生じたと述べた。
またCryptoinsightukは、1時間足チャートにおいて「アダム・アンド・イブ型」と呼ばれる二つの異なる底を持つ短期パターンが形成されつつある可能性を示した。
Potential Adam and Eve bottoming pattern forming here for $XRP on the hourly pic.twitter.com/XI58pdZtD0
— Cryptoinsightuk (@Cryptoinsightuk) December 28, 2025
ただし、これらのテクニカル所見については、出来高の増加や市場全体の強さによる裏付けが不可欠だと慎重な見方が示されている。
取引所供給量の減少が注目集める
価格動向に加え、供給データも市場の関心を集めている。
分析企業Shieldのデータによると、取引所に保管されているXRP残高は約十五億枚まで減少し、直近数週間で約七億五〇〇〇万XRPが引き出されたという。
📈 XRP SUPPLY IS DRYING UP ETF DEMAND IGNITES THE SQUEEZE
Only 1.5B $XRP remain on exchanges, with 750M scooped up in recent weeks.
As ETFs accelerate accumulation, analysts say a major supply shock could be brewing heading into early 2026. 🚀 pic.twitter.com/91EF0TVBpP— Shield (@Shieldmetax) December 28, 2025
一般に、取引所残高の減少は短期的な売り圧力の低下を示唆するとされるが、価格の安定を保証するものではない。
XRPは今年七月、リップル社が米証券取引委員会(SEC)との長期訴訟を解決した後、3.65ドル(約570円)まで上昇した。
その後、同社は買収や提携を通じた事業拡大を続けているものの、XRP価格は高値から大きく調整している。
年末を迎える中、XRPは依然として限定的なレンジ内にあり、テクニカル支持線と供給動向が市場不安を相殺できるかが焦点となっている。
Bitcoin Hyper、三〇〇〇万ドル到達目前
XRPのオンチェーンデータが保有分散の進行を示す中、既存ネットワークの活用を拡張するインフラ系プロジェクトにも注目が集まっている。
その一例として、Bitcoin Hyper(HYPER)は、ビットコインを基盤とするレイヤー2構想として存在感を強めている。

同プロジェクトは、Solanaベースの実行環境を用いてスマートコントラクトや高処理能力のアプリケーションを実現し、最終決済をビットコイン上で行う設計を採用している。
これは、基盤レイヤーを変更せずにビットコインの実用性拡張を目指す「BTCFi(ビットコイン金融)」の流れに位置付けられる。
公開情報によれば、Bitcoin Hyperのプレセール調達額は累計約2986万ドル(約45億円)に達している。
市場関係者の間では、三〇〇〇万ドルの節目を超えることで、価格が急伸する可能性があるとの見方も出ている。






