ビットコインは依然として暗号資産市場における流動性の中核であるが、2025年末に向けた市場のメッセージは明確だ。資金はより戦術的に動いている。連邦準備制度理事会（FRB）による12月の利下げを受け、一時的にリスク回避の動きが強まったことで、BTCは9万ドル前後（約1,350万円）まで下落し、マクロ要因が依然として暗号資産市場に即座に影響を与えることを示した。
この「長期的には強気、短期的には弱気」という環境は、1ドル未満のアルトコインが最も注目されやすい局面でもある。単なる価格エクスポージャーではなく、将来性という投資テーマを買う局面だからだ。2026年に向けて、そのテーマはインフラ型プロジェクトと、すでに大規模な流動性を引き寄せた実績を持つモメンタム取引に集約されつつある。
こうした視点から、異なる3つの戦略に対応する1ドル未満の注目アルトコインを挙げる。Bitcoin Hyper（HYPER）はビットコイン基盤インフラへのレバレッジ、Maxi Doge（MAXI）は実用性を伴うミーム投機、そしてFartcoin（FARTCOIN）は純粋なモメンタムとソーシャル拡散力を狙う銘柄である。
1. Bitcoin Hyper（HYPER）
Bitcoin Hyperは、ビットコインが長年抱えてきた制約に対する明確な解決策を提示している。DeFi（分散型金融）に対応したビットコイン・レイヤー2であり、取引処理の遅さ、混雑時の手数料高騰、プログラマビリティの制限といった課題に対応する設計だ。基盤となるのはビットコインのレイヤー1による決済で、これにSolana Virtual Machine（SVM：高速スマートコントラクト実行環境）を統合したリアルタイム実行レイヤーを組み合わせている。
同プロジェクトが想定するのは、「保有して待つだけ」のビットコイン流動性が、より積極的な用途を求める未来である。ロードマップには、ラップドBTCを用いた高速決済、スワップやレンディングといったDeFi基盤、さらにNFTやゲーム用途までが含まれている。
プレセールの調達額は約3,000万ドル（約45億円）に迫っており、トークン価格は0.013415ドル（約2円）と、1ドル未満の範囲に収まっている。一方で、初期段階としては十分な需要の強さを示している点が特徴だ。加えて、年利39％のステーキング（トークンを預けて報酬を得る仕組み）が提供されており、すでに13億トークン以上がステーキングプールに預け入れられている。
総合すると、Bitcoin Hyperは投機的なミームコインというよりも、ビットコインの次の成長段階に賭けるレバレッジ型アルトコインと位置付けられる。BTC資本が休眠せず、オンチェーン上で循環・収益化・拡張される世界を見据えた設計だ。
2. Maxi Doge（MAXI）
Maxi Dogeは「1,000倍レバレッジ」を前面に出したミームコインだが、単なるジョークに留まらない仕組みを構築しようとしている。中核となるのはコミュニティ主導の競争イベントで、保有者限定のトレーディングチャレンジやランキング報酬により、価格チャート以外でも関心を維持する設計となっている。
ブランディングは意図的に誇張されており、「240ポンドの巨大な犬」というキャラクター設定が用いられている。ただし戦略自体は明確で、カルチャーによって注目を集め、その後は定期的なイベントを通じて市場の不安定な局面でもエンゲージメントを維持するというものだ。2026年に向けてミームコインの流動性が一部コミュニティに集中する場合、この点は重要な要素となる。
数値面では、Maxi Dogeのプレセール調達額はすでに430万ドル（約6億5,000万円）を超えている。現在のトークン価格は0.0002725ドル（約0.04円）と非常に小さく、単位数を多く保有したい投資家に好まれやすい価格帯だ。
さらに、年利72％のステーキングが提供されており、すでに104億トークン以上がプールにロックされている。短期的な利益よりも中長期リターンを重視する投資家が多いことを示唆している。
全体としてMaxi Dogeは、高いエネルギーを持つアルトコインとして、自律的なエンゲージメントエンジンを備えている。先物取引プラットフォームとの連携や、ゲーム性を取り入れたトレーディング大会など、単発の話題に依存しない流動性循環を目指している点が特徴だ。
3. Fartcoin（FARTCOIN）
Fartcoinは、今回のリストの中で最も「モメンタム重視」の選択肢である。2024年10月にSolana上でローンチされたこのアルトコインは、ユーモアを軸としたコミュニティ主導の実験として誕生し、明確な実用性は持たない。
一方で、ミームトレーダーが重視する配布設計を備えていた点が注目された。チーム割当なしのフェアローンチで、Pump.fun（分散型ミームコイン発行プラットフォーム）を通じた完全分散型取引が行われ、話題性が一気に拡散しやすい構造となっていた。
2025年初頭には時価総額25億ドル（約3,750億円）に到達したが、同年8月には19％の下落を経験している。これは、高い流動性を持つミームコインであっても、センチメント転換時には急激な値動きが起こり得ることを示している。現在はミームコイン時価総額ランキング12位に位置し、大規模なコミュニティと十分な流動性を持ちながらも、依然として取引機会が残されている規模感だ。
直近1カ月では28.1％の上昇を記録し、多くのミームコインだけでなく、アルトコイン全体を上回るパフォーマンスを示した。
Fartcoinに向き合う場合は、モメンタム型アルトコインとして捉える必要がある。流動性、ソーシャル上の関心度、重要な価格水準を継続的に観察する姿勢が重要となる。
