
暗号資産市場では、ビットコインが直近の高値から落ち着きを見せる中、投資家の関心がイーサリアムや中堅トークンへと移行している。アナリストは、この動きがアルトコインシーズン初期に見られる典型的なパターンであり、資金がビットコインからイーサリアム、そして広範な市場へと流れていく過程だと指摘している。
イーサリアムはETF(上場投資信託)への安定した資金流入によってその地位を強化しており、ソラナやXRPのETF商品化への期待も投資家心理を押し上げている。これらの要因が組み合わさることで、デジタル資産全体に広がる強気相場を加速させる可能性があると一部アナリストは見ている。
ビットコイン・ローテーションの初期サイン
暗号資産アナリストのラーク・デイビス氏は、現在の相場構造が典型的な市場サイクルの流れに似ていると述べる。歴史的に、まずビットコインが上昇し、その後にイーサリアムがアウトパフォームし、最終的に中小規模のトークンへと流動性が移動してきた。
デイビス氏によれば、ビットコインのドミナンス(市場占有率)がピークに達しつつある兆候が見られ、すでに資金がイーサリアムへと再配分され始めているという。
今注目すべきアルトコイン
デイビス氏は、投資家が次の局面に備えるための「プレイブック」を提示している。まず、イーサリアムがビットコインを継続的に上回ることで、広範な上昇相場の引き金になると強調する。ETF期待と拡大するDeFi(分散型金融)やNFTエコシステムによって支えられるソラナも有力な候補に挙げられている。さらに、XRPもETF観測が高まれば恩恵を受ける可能性がある。
主要銘柄以外では、デイビス氏はリフレクシブな経済構造を持つ資産に注目しており、dYdXやHyperliquid(Hype)などの「買戻し・焼却(バーン)メカニズム」を採用するプロジェクトを取り上げた。Hyperliquidはこれまでに13億ドル(約1,950億円)以上の取引手数料を買戻しに充てており、dYdX、Jupiter、Raydium、Chainlinkといった他のプロジェクトも同様の仕組みを活用してトークン需要を支えている。
Bitcoin Hyper:レイヤー2の中核プロジェクト
新興プロジェクトの中でも注目されるのが、Bitcoin Hyper(HYPER)だ。同プロジェクトは、Solana Virtual Machine(SVM)とZKロールアップを統合したビットコインのレイヤー2ソリューションである。カノニカルブリッジを通じ、ラップドビットコインがDeFi、NFT、dApps(分散型アプリケーション)とシームレスに連携できるように設計されており、ビットコインの用途を「価値保存」から大きく拡張している。
プレセール資金はすでに1,200万ドル(約180億円)を突破し、年利100%を超えるステーキング利回りが提供されている。こうした条件により、個人投資家から機関投資家まで幅広い支持を集めている。アナリストは、アルトコインローテーションが加速すれば、HYPERは「ビットコインのスケーリング」というテーマとアルトシーズンの資金流入の両面を取り込み、このサイクルで突出した存在になる可能性があると見ている。
また、ミームコインも投機的ながら高い流動性を持ち、トレーダーにとって参入しやすい資産として注目されている。直近ではBONK、PENGU、FARTといったトークンの急騰が示すように、個人主導の資金流入が短期間で市場を活性化させることがある。
さらに、AIやゲーム分野の新興トークンも、新しい投資テーマとして資金を引きつける可能性がある。
デイビス氏は、アルトコインシーズンは突発的に始まることは少ないものの、ETFへの資金流入、ドミナンス指標の変化、資金移動の初期兆候といった状況を踏まえると、近年でもっとも活発なサイクルが形成されつつある可能性があると述べている。
