ソラナは足元で価格の弱さが目立つ一方、機関投資家による開発と資金流入が加速し、エコシステム内に明確な温度差が生じている。
米決済大手のVisaは米国の銀行向けに、ソラナ上でUSDC決済を可能にしたほか、CMEグループもソラナ先物の提供を拡大した。これらの動きは、将来的に10兆ドル（約1500兆円）規模に達するとされるトークン化資産市場への移行を後押ししている。
同時に、ソラナには今月だけで6億7000万ドル（約1000億円）超のETF純流入が確認され、SOLの長期的な下値基盤を形成している。
一方、短期的なチャートは弱含みで推移している。長期投資家の間ではDeFi（分散型金融）分野における高速レイヤー1の主導的存在と評価されるものの、テクニカル指標は下振れリスクを示唆している。
本稿では、価格構造、オンチェーンデータ、ビットコインとの連動性を整理し、次の大きな値動きのシナリオを検証する。
また、高速レイヤー1として注目されるソラナに対し、そのスピードをビットコインへ持ち込む新たな試みとして、Bitcoin Hyperが市場の関心を集めている。
VisaのUSDCソラナ移行が示す機関投資家の本格参入
ステーブルコインとは、法定通貨など実在資産の価値に連動する暗号資産を指し、多くは米ドルと1対1で裏付けられている。
USDCは、米Circleが発行する主要ステーブルコインの一つで、実資産による担保を背景に1ドル近辺の価格を維持している。
Visaは一部の提携銀行やフィンテック企業に対し、従来の銀行送金に代えてUSDCによる決済を認めた。決済とは、銀行やカード発行会社、Visa間で日次の残高を清算する工程を指す。
これにより、時間とコストのかかる電信送金を待つ必要がなくなり、低手数料かつ高速なソラナ上でUSDCを直接送金できる体制が整った。
BREAKING: Banks are settling payments with @Visa on Solana, already at $3.5 billion run rate 🔥 pic.twitter.com/MSQZv0hmf7
— Solana (@solana) December 16, 2025
Visaによると、同社のステーブルコイン決済額は年間約35億ドル（約5200億円）に達しており、今後はユーロ建てのEURCなど対応通貨とブロックチェーンを拡大する方針だ。
Cross River BankやLead Bankはすでにソラナ上のUSDCでVisa決済を実施しており、規制下の銀行が日常業務でパブリックブロックチェーンを活用している実例となっている。
この流れは、ミームコインにとどまらないソラナの実需を裏付ける。Reutersによれば、J.P.モルガンはUSDCを用いたトークン化コマーシャルペーパーをソラナ上で発行している。
背景には取引コストの問題がある。イーサリアムの高額なガス代は企業利用の障壁となっており、創設者のヴィタリック・ブテリン氏も課題として言及してきた。ソラナは1セント未満まで低下する手数料を実現し、SWIFTなど旧来システムとの差を広げている。
ソラナETF需要は堅調に推移
オンチェーンデータは安定を示すものの、強い上昇モメンタムは確認されていない。DEX（分散型取引所）の取引高は一時増加後に低下し、ステーブルコインの時価総額は拡大する一方、TVL（預かり資産総額）は横ばいで推移している。
これらはネットワーク利用の継続を示すが、現状のレジスタンスを突破する力には欠ける。
一方、ソラナの現物ETFには12月を通じて安定した資金流入が続いている。12月4日以降、ほぼ毎日プラスの純流入が記録された。
複数の日で1000万ドル（約15億円）超の流入があり、主な買い手はBitwise、Grayscale、VanEck、Fidelityとなっている。21Sharesによる初期の流出は、その後のトレンドに影響を与えていない。
12月18日には1300万ドル（約19億円）、前日にも1100万ドル（約16億円）の流入が確認され、累計では約1億2000万ドル（約180億円）に達している。価格が伸び悩む中でも、機関投資家の関心は根強い。
ソラナ価格予測
ソラナは125〜126ドル（約1万9000円前後）のバリューエリア下限を明確に下抜けた。これは、ビットコインの弱含みと独自材料の不足を背景に、過去の分析で想定されていた動きだ。
数日間この水準を試した後、125ドル割れにより下方に流動性ギャップが形成された。かつて支持線だった同水準は、現在は強い上値抵抗に転じている。
焦点は、125〜126ドル帯を回復できるかにある。明確な回復が確認されれば、短期的な反発余地が生まれる。
一方、反落した場合は下落継続が確定し、流動性ギャップを埋める動きが強まる可能性が高い。
今後の方向性は、米国のインフレ指標が左右するとみられる。内部ファンダメンタルズは安定しているものの、価格は依然としてマクロ環境とビットコインの値動きに連動している。
インフレ率が予想を下回れば、センチメント改善とともに125ドル回復が視野に入る。逆に予想以上となれば、ビットコインが上値を突破できない限り、126ドルの抵抗突破は難しい。
想定されるシナリオは二つだ。好材料が重なれば下落否定から高値圏回復へ進む一方、失敗すれば115ドル（約1万7000円）付近の昨年バリューエリア下限が次の支持線となる。
Bitcoin Hyperが切り開くビットコインL2の新局面
ビットコインのレイヤー2銘柄として、新たに登場したBitcoin Hyperが注目を集めている。同分野は拡大を続け、近年の主要暗号資産プロジェクトの多くがこの領域から生まれている。
レイヤー2とは、基盤となるレイヤー1の処理をオフチェーンで補完し、高速化と低コスト化を実現する仕組みを指す。混雑した高速道路の上に高架を設ける構造に例えられる。
Bitcoin Hyper登場以前、ビットコインには実用的な高速レイヤー2が存在せず、需要に対して処理能力が不足していた。
同プロジェクトは、ソラナ・バーチャルマシン（SVM）を活用し、低コストかつ高速なビットコイン取引を可能にするインフラ構築を掲げている。
この独自性により、CryptonewsのYouTubeチャンネルでは「今買うべき暗号資産」の一角として紹介された。
Bitcoin Hyperは年率39％のステーキング報酬も提供しており、先行参加者への魅力を高めている。ICO調達額はすでに約3000万ドル（約450億円）に迫り、市場環境次第でさらなる伸びも見込まれる。
早期参加を希望する投資家は公式サイトから、SOL、ETH、USDT、USDC、BNB、クレジットカードでHYPERを購入できる。保管にはBest Walletの利用が推奨されている。
HYPERはすでにBest Wallet内の「Upcoming Tokens」に掲載され、取引開始後の管理や受け取りを簡単に行える体制が整っている。
