
イスラエルとイランの新たな衝突により、世界の金融市場が動揺し、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)は過去24時間で下落した。地政学的リスクの高まりは、安全資産としての金の輝きが増す一方で、仮想通貨がいかに不安定であるかを浮き彫りにしている。
突発的なショックに備えたい投資家にとって、仮想通貨の役割を理解することはこれまで以上に重要である。相場がニュースに反応して急変する状況下では、タイミングが極めて重要だ。今、購入すべき最適な仮想通貨を選ぶには、戦略と胆力の両方が求められる。
中東情勢の荒波で金価格は上昇、仮想通貨は下落
中東の緊張が仮想通貨市場に影響を与え、投資家心理の不安定さが露呈した。CoinGeckoのデータによると、ビットコインを含む暗号資産市場の時価総額は過去1日で3%以上下落した。その引き金となったのが、イスラエルとイランの軍事的緊張の激化である。
さらに市場の不安感を強めたのが、ドナルド・トランプ前米大統領によるG7カナダサミットの早期退席だ。トランプ氏は中東情勢を理由に挙げ、その後、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「テヘランの市民はただちに避難せよ」と投稿した。報道によれば、同氏はホワイトハウスのシチュエーションルームの準備も指示したという。
こうした出来事が重なり、市場では再びリスク回避の動きが強まった。安全資産として注目されるのは、伝統的な金と「デジタルゴールド」とも呼ばれるビットコインだが、両者の最近の値動きは対照的だ。
金は、安全資産としての役割を再確認される形で急騰した。6月12日時点で約96,700ルピーだった金価格は、6月16日には約101,078ルピーまで上昇。その後、利益確定の売りにより6月18日時点では約99,452ルピーまで調整されたものの、全体的な上昇傾向が不確実な状況下での人気を裏付けている。
一方、ビットコインは下落した。6月12日時点で約109,000ドル(約1,704万円)だった価格は、6月17日には約103,700ドル(約1,622万円)まで下落し、約5%の下げ幅となった。これは、株式などリスク資産の下落と連動しており、金とは対照的な動きを見せた。
著名経済学者ピーター・シフ氏は、ビットコインの価格変動性が長期的な価値保存手段としての信頼性を損なっていると指摘。これに対し、金は何十年にもわたりその地位を保ち続けている。
Tonight U.S. stock futures and the dollar are both selling off. But once again gold and Bitcoin are going in opposite directions. Gold is acting like a safe haven and rising about 1%. Bitcoin is trading like a risk asset, falling by about 2%. Clearly Bitcoin is not digital gold.
— Peter Schiff (@PeterSchiff) May 5, 2025
それでは、ビットコインは本当に金に匹敵する「危機回避資産」となり得るのか。この問いが、改めて市場で議論されている。
一部のアナリストは、ビットコインが徐々に安全資産としての性格を強めているとみている。取引所Bitgetのヴガー・ウシ・ザデ氏は、「ビットコインは流動性があり、危機時にも政府介入から一定の保護が得られる」としながらも、「金と比べれば変動性が高いのは事実」と付け加えた。
当面は、金の堅調なパフォーマンスがその信頼性を裏付ける形となっている。ビットコインには将来性があるものの、投資家心理や市場全体の動きに左右されやすい。金属とデジタル資産の間で、その競争は今後も続くだろう。
ビットコイン価格分析
最近のビットコインの値動きは、上昇トレンドから10万3,000ドル(約1,610万円)〜10万7,000ドル(約1,673万円)のレンジ内での調整局面に移行したことを示している。5月下旬には10万4,000ドル付近から始まり、6月初旬には約10万9,000ドルに達したが、その後、需要ゾーンである10万3,000ドル付近で2度にわたり反発している。
しかし、10万7,000ドルを超える試みは売り圧力によって阻まれ、上値を抑えられている。取引量のパターンからは、パニック売りというよりも利益確定による下落であることが読み取れる。今後、10万7,000ドルを大きな出来高で突破できれば、10万9,000ドル超への上昇再開が期待される。
一方、10万3,000ドルを下回る展開が続くと、10万ドル(約1,563万円)へのより大きな調整が始まる可能性もある。トレーダーにとっては、10万2,000ドルを損切りラインとして10万3,000ドル付近での買い、または10万7,000ドル突破を確認しての順張り、あるいは10万7,000ドル付近でのショート戦略もリスク・リワードの観点から注目される。
Crypto Expressによると、現在のビットコインは重要な局面にある。サポートラインで反発している一方で、「一目均衡表(Ichimoku Cloud)」が上値の抵抗として機能している。雲と供給ゾーンを上抜けすれば強気シナリオ、下抜けすれば下落局面入りの可能性が高まる。
#BTC/USDT ANALYSIS
Bitcoin is rebounding from the support trendline of the ascending triangle pattern, while the Ichimoku Cloud is acting as a resistance barrier above the price.
A breakout above the cloud and the pattern’s supply zone would signal a bullish trend, whereas a… pic.twitter.com/Yn24yIAe79
— The Crypto Express (@TheCryptoExpres) June 18, 2025
今、買うべき仮想通貨は?
地政学リスクが仮想通貨の不安定性を浮き彫りにする中、堅実性と成長性を兼ね備えたトークンに注目が集まっている。株式市場からの資金流出や金価格の高騰が続く中、回復局面をリードする暗号資産が現れ始めている。今、購入すべき仮想通貨には、安定性と成長可能性のバランスが求められる。
Solaxy(ソラクシー)
安全資産への関心が高まる中で、Solaxyが提供するスケーラブルなDeFi(分散型金融)ツールキットは、不透明な市場環境下でも技術革新が進むことを示している。
Solaxyは、Solana(ソラナ)基盤のレイヤー2プロジェクトであり、今年最大規模のプレセールを完了。個人投資家やアナリストの間で注目を集めている。
注目の理由は、Solanaが抱える混雑(コンジェスチョン)問題を解決しようとしている点にある。従来のブリッジ(他ブロックチェーンとの接続手段)に依存せず、Hyperlaneのモジュラー構造とパーミッションレス設計を活用し、SolanaとEthereum、Solaxy間で高速かつ低コストでのトークン移動を可能にする。
Solaxyのレイヤー2テストネットはすでに稼働しており、秒間16件の平均速度で100万件以上の取引を処理済み。開発チームは今後、より広範な展開を見据えている。
仮想通貨系YouTuberの99Bitcoinsも「Solaxyは残り数日で購入可能」とし、その将来性に期待を寄せている。
テストネットの順調な稼働とクロスチェーン基盤の整備を背景に、Solaxyは注目度を高めており、SOLXトークンの上場が迫る中、その動向が業界で注視されている。
Bitcoin Hyper(ビットコイン・ハイパー)
市場が不安定になるとビットコイン本体が下落する中で、Bitcoin Hyperはその値動きをレバレッジ付きで取り込むことで、デジタルゴールドとしての魅力をさらに高めている。
Bitcoin Hyperは、ビットコインのスケーラビリティ問題を解決すべく、Solana Virtual Machine(SVM)を用いた高速処理を導入。メインチェーンを使わずにオフチェーンでトランザクションを処理し、手数料と遅延を削減する。
ビットコインの基盤ネットワークは秒間約7件の処理にとどまるが、Bitcoin Hyperの「Canonical Bridge(カノニカル・ブリッジ)」はこれをまとめて高速処理し、最終的にビットコインブロックチェーンに報告する仕組みとなっている。
技術面に加え、コミュニティの拡大やミームコインとしての側面も注目されている。プレセールも活況で、次のビットコイン強気相場を見越した投資対象として人気が高まっている。
新興の高速ネットワークがビットコインにプレッシャーをかける中、Bitcoin Hyperは有望な代替資産として位置づけられており、今後の動向に注目が集まる。
SUBBD(サブド)
SUBBDは、オンチェーンでのステーキング(預け入れによる報酬獲得)に特化し、安定的な利回りを目指す投資家にとって新たな避難先としての期待が高まっている。
SUBBDは、コンテンツ制作者向けのAI主導型サブスクリプション(定額)サービスとしてローンチ予定だ。管理業務をAIが代行し、制作者が創作に集中できる仕組みを提供する。
ユーザーは、独自のAIモデルを展開し、YouTubeやPatreonといった従来の仲介者を通さずに、直接ファンとのやり取りが可能。中心となるのが、SUBBDトークンである。
ファンはこのトークンを使って限定コンテンツの閲覧、投票、コミュニティ参加が可能。投資家にとっては、拡大中のユーザー基盤と収益性を共有できる仕組みが魅力となる。
SUBBDは、話題性ではなく実用性に重点を置いており、安定した成長を目指す。Web3時代の到来とともに、SUBBDはクリエイター経済の新たなインフラを担う存在として注目されている。
結論
中東での緊張の高まりは、再び仮想通貨市場の脆弱性と、真の安全資産とは何かという問いを投げかけた。金はその役割を堅持した一方、ビットコインは調整局面に入った。
しかし、ブロックチェーン技術の進化と新しい収益戦略により、新たなトークンが登場し、相場変動にも対応し得る可能性を見せている。今後の投資判断においては、安定性と成長性のバランスを見極めることがより一層重要となるだろう。
