暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)は19日、一時1630万円を突破し、年初来高値を更新した。
20日に控えるドナルド・トランプ次期大統領の就任を前に、仮想通貨の国家戦略化への期待が高まっている。
金利低下期待を追い風に上昇基調
ビットコインは13日、米国債の金利上昇を受けて1500万円台前半まで値を下げる場面もあった。しかし、15日に米消費者物価指数(CPI)のコア指数が前年比で減速したことを受けて、1570万円台まで値を戻した。
さらに、FRB(連邦準備制度理事会)のウォラー理事が年内3〜4回の利下げに言及したことで投資家心理が改善。ドル建てでは一時10万ドルの大台を突破する展開となった。
国家戦略化への期待高まる
ワイオミング州が17日、州独自のビットコイン戦略準備金創設に向けた法案を提出。同州のルミス上院議員は「ワイオミング州は戦略的ビットコイン準備金に向けて大胆な一歩を踏み出した」とX(旧Twitter)で発表した。
法案を提出したワッサーバーガー州議会議員の案では、州財務官が永続的基金を活用してビットコインへの投資を可能にする内容。ルミス氏は「この先進的なアプローチは、金融革新で全米をリードする我が州に大きな利益をもたらすだろう」と評価している。
すでにペンシルベニア州やテキサス州など計7州が同様の法案提出を検討。トランプ氏は昨年7月のBitcoinカンファレンスで国家的なビットコイン準備金の創設を表明し、これを受けて同上院議員が財務省に5年間で100万BTCの購入を義務付けるBITCOIN法案を提出した。
米政府は現在、捜査で押収したビットコインを約200億ドル相当保有。トランプ氏の政策チームは、この既存の保有分を活用した国家的備蓄制度の創設を検討している。
規制緩和策も視野に
トランプ氏の政策チームは、戦略準備金の対象をUSDコインやリップル(XRP)、ソラナ(SOL)など他のアルトコインにも拡大する方針。さらに、バイデン政権下で強化されたSECによる業界への法的措置の一時停止も検討している。
特に注目されているのは、金融機関の仮想通貨ビジネス参入を制限してきたSECの会計基準「SAB121」の撤廃だ。市場関係者からは「規制緩和により機関投資家の参入が加速する」との期待が高まっている。
ただし、大統領令による政策実現には議会承認が必要となる見通し。トランプ氏の就任後、具体的にどのような施策が打ち出されるのか、業界関係者の注目が集まっている。