
主要な暗号資産ウォレット「Phantom(ファントム)」の運営元であるPhantom Technologies(ファントム・テクノロジーズ)が、2025年4月14日に提訴された。同社が提供するウォレットにおけるセキュリティ上の脆弱性が原因で、開発者のアカウントからWiener Doge(WIENER)トークンが50万ドル(約7,750万円)以上流出したとする訴えだ。
Phantom Wallet sued over $3m for security issues regarding $WIENER
*Maybe they should see a doctor 🤔 pic.twitter.com/aUmvowm1ic
— Cam (@CryptoNews_eth) April 15, 2025
Phantom側は責任を否定──「非カストディアル型ウォレット」であると主張
暗号資産専門の法律事務所「Murphy’s Law(マーフィーズ・ロー)」の創設パートナーであるリアム・マーフィー氏を含む14名が、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に共同で訴訟を提起した。原告側は、Phantomが「最高水準のセキュリティ」を標榜しているにもかかわらず、基本設計における欠陥によりユーザーをマルウェアや盗難のリスクに晒していると主張している。
訴状によれば、ハッカーがマーフィー氏のPCに侵入し、ブラウザのメモリに保存されていた同氏のPhantomウォレット用秘密鍵を抽出。その結果、2段階認証を回避することなく、リンクされた3つのウォレットすべてに無制限のアクセスが可能となったという。
Phantomは、ソラナ(Solana)ブロックチェーンで最も利用されている自己管理型ウォレットであり、評価額は30億ドル(約4,650億円)を超える。訴状では、同ウォレットが「暗号化されていないブラウザメモリ」に秘密鍵を保存しており、マルウェアによる抽出リスクがあると指摘されている。
Phantom側は、「ユーザーに資産の完全な管理権を提供する非カストディアル型ウォレット」であり、悪意あるリンクによる詐欺の防止は不可能と主張。その上で、犯罪行為が報告された際には法執行機関と連携して対応するとしている。また、アプリ内でのセキュリティ教育や安全性に関するリソースも提供していると説明した。
マーフィー氏は被害直後にPhantomに報告したとされるが、同社は「非カストディアル型ウォレットであり、すべての損失はユーザーの責任だ」と回答したという。
なお、Phantomウォレットは1,000万人以上のアクティブユーザーを抱え、約250億ドル(約3兆8,750億円)相当の資産を管理しているとされている。
PhantomウォレットのハッキングがWIENERプロジェクト崩壊の引き金に
訴状ではさらに、ハッカーがPhantomの内蔵機能「Swapper(スワッパー)」を用いて、WIENERトークン50万ドル分をわずか37,537ドル(約580万円)のSOLに換金したことが記されている。この大量換金により、Wiener Dogeプロジェクト全体の価値が一気に崩壊したとされている。
暗号資産分析サイト「GeckoTerminal」によると、WIENERのピーク時の時価総額は315万ドル(約4億8,900万円)に達していたが、現在は1万2,750ドル(約197万円)まで急落。それでも24時間の取引量は30万ドル(約4,650万円)以上、取引件数は2,477件を超えている。
訴状では、Phantomには「取引速度チェック」「地理的異常検出」「出金制限」といった安全機構が一切備わっておらず、Coinbase(コインベース)のウォレットとの比較でその欠如が際立つと指摘されている。
また、訴訟には中央集権型取引所OKX(オーケーエックス)も言及されており、同社が違法な取引50億ドル(約7,750億円)に関与し、マネーロンダリングで有罪答弁した過去が取り上げられている。
PhantomがOKXとの直接的な統合関係を公表しなかったことも「欺瞞的な行為」であると訴状では述べられている。
原告側は、マーフィー氏のハッキング当時のWIENERの時価総額である310万ドル(約4億8,000万円)以上の損害賠償を求めている。さらに、Phantomが「登録なしの取引プラットフォームとして商品取引法に違反」し、「表面的な分散型主張」で規制を回避していると批判している。
ソラナの救世主となるか──Solaxy(SOLX)の可能性
Phantomウォレットの法的問題や、Pump.funの否定的な報道が続くなか、新たなレイヤー2(L2)ソリューション「Solaxy(ソラクシー)」がソラナ復活の鍵を握る可能性が出てきた。
Solaxyは現在、プレセールで3,015万ドル(約46億9,000万円)を調達しており、資金流入は今も続いている。
この次世代型L2ソリューションは、長年ソラナ・コミュニティを悩ませてきたスケーラビリティ問題に対する初の本格的な対応策とされている。Ethereum(イーサリアム)ではL2チェーンが乱立している一方で、Solaxyはソラナに特化した初のL2となる。
Solaxyは、トランザクションを一度メインネットからまとめてオフチェーンで処理し、再びソラナへ送信することで、ネットワーク混雑や不安定さの軽減を目指す。
これにより、Solaxyはソラナの負荷を分散しつつ、ミームコインや投機的取引に特化したソラナの強みを維持する仕組みを提供する。
DeFiLlamaのデータによると、DEX取引量でソラナは24時間あたり25億ドル(約3,875億円)を超え、Ethereumの18億ドル(約2,790億円)を上回っている。この取引量の多さからも、Solaxyのような専用L2の必要性が明らかになっている。
Solaxyの詳細は公式ウェブサイトで確認でき、ウォレットを接続するだけでプレセール参加者はSOLXトークンを確認可能。また、EthereumとSolanaのマルチチェーンアクセスにも対応している。
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